仕事派遣

見直される時給、派遣会社の抜け道とは(同一労働同一賃金)

以前こちらの記事で、同一労働同一賃金では派遣の時給が上がらないというお話をしましたが、派遣会社から1つの解決案が提案されました。

それが『派遣先へ時給交渉ならできる』です。

まずは、これまでの派遣会社の営業担当さんとのやりとりをQ&A形式でまとめましたので、確認しましょう。※口頭での会話のため、簡単に書いています

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営業担当との会話

時給

現在の時給   :1500円
手当がついた場合:1626円で126円UP
※賞与0.02%と退職金0.06%を足した金額になります(詳細は前回記事にあり)

話はこのように始まりました。

営業担当

同一労働同一賃金についてですが、会社全体で時給の見直しを行った結果、4月から1500円となります。

派遣

同一労働同一賃金について、会社のホームページでは新しく手当を支給すると書いてありましたが、無いということでしょうか?

営業担当

いえ、手当を踏まえて時給の見直しを行った結果が1500円となります。

Q.手当含めて今の時給と同じということは、基本時給が下がるということですか?
A.いえ、制度の改正に伴い時給を見直したことによる結果がこちらになります。

Q.見直しの結果、基本時給が下がるということですよね?
A.下がるということではありません。一から見直した結果がこちらになるだけです。

Q.書面で時給欄を見たとき、手当が含まれていない基本時給欄は現在の支給と比べると低いですよね?
A.書面で見るとそうですね。

Q.基本時給の欄だけ見てしまうと下がってるという認識を持つのは仕方ないと思うのですが?
A.そうですね。

Q.会社としては見直しの結果の時給という言い方ですが、派遣社員にとっては手当分時給が上がるどころか、基本時給が下がることによる不利益と感じてしまいます。
A.そうですね。ですが、下がるわけではなく見直しにより結果として現在よりも低くなるだけです。

Q.同一労働同一賃金が始まることで、派遣会社の負担が増すのは理解できます。手当等の上乗せ分を派遣先会社へ交渉するなどした結果、無理だったということでしょうか?
A.同一労働同一賃金により、派遣先会社への交渉は行っておりません。ただ、交通費についてだけ、現在交渉中となります。

Q.派遣会社が払えない手当分を派遣料金に上乗せという交渉を、派遣先会社へしていないということですか?
A.はい。制度のための派遣料金の交渉というのは行っておりません。

Q.交渉した結果難しかったのではなく、社内の時給見直しのみ行ったということですか?
A.今回は、制度により社内での見直しをした結果のご案内となります。

ここまでやりとりして感じたことは、会社としては『同一労働同一賃金により下がったのではない』と主張したいということでした。

この部分に関しては、厚生労働省のQ&Aに『制度による時給の引き下げは問題あり』との記載があるからだと思われます。

同一労働同一賃金による時給交渉はしていない

Q&Aの中で黄色い線を引いた営業担当さんの「制度のための派遣料金の交渉というのは行っておりません。」という言葉。

私は、手当について派遣先と交渉した結果、難航したために手当がつかないのだと思っておりました。

ですが、それすら行っていなかったのです。

会社内で、制度に対して手当を支給するにあたり、現在の時給を見直し、手当を含めた時給を現在の時給に調整しただけという、派遣社員にとっては何もされていないのと同じようなものでした。

ただし、今回の同一労働同一賃金により時給アップする方もいらっしゃいます。それは、最低時給が基準となる時給よりも低い方です。

新基準となる職務給よりも時給が低かった人は、時給アップとなりますので、今回の制度は最低時給よりも低い方への救済制度と考えても良いかと思います。
※他の派遣会社や、労働基準監督署、需給調整事業へ電話相談した結果、同じような回答が返ってきました

労働基準監督署に相談してみた

実質の時給引き下げによる問題はないのか?

職種別の基準時給を下回っていなければ問題なし
制度を理由に時給を下げるのは問題あり

手当を含めた額が現在の時給と変わらないとしても、実質基本時給が下がることは問題ではないか?と感じ、労働基準監督署へ電話相談を行いました。
※労働基準監督署へ電話をしたところ、担当となる事業は別であり、需給調整事業というところでの相談となりました

そこで、自分が派遣社員として働いていることと、派遣会社の対応は不当ではないか?と相談しましたが、結果としては新しい時給が基準時給を下回っていないなら、問題はないということでした。

ただし、制度を理由に現在の時給を基準時給まで下げることは問題あり。

派遣会社は労使協定の改定もしており、問題はないため、新しい時給が受け入れられないなら、契約を更新しないという方法しかありませんでした。

時給を上げたいなら時給交渉

ここまで、同一労働同一賃金で時給が上がると思っていたからこそ、会社の表向きには支給で実質現状維持という動きに対して不満を持ち、電話相談等を行ってきましたが、そこで営業担当さんに提案をされました。

「制度とは別で、希望されるなら時給交渉ならできますよ?」

こちらとしては、時給交渉がしたかったのではなく、制度により新たに手当てがつくことを期待していたのです。

それを、会社は制度の手当については時給交渉に動かないが、個人的な時給交渉なら希望があれば行います、という提案がされました。

通常の時給交渉であれば、経験を積んでスキルアップした成果や、業務の変動があった場合などが理由です。

全くの見当違いの提案でしたが、結局は、時給を上げたかったら時給交渉を希望するしかないという結論でした。

派遣社員は、自分で調べて考える必要がある

ニュースや、会社の情報、すべて鵜呑みにした結果私は実現しない内容を期待してしまいました。

実際は何も変わらないというのに、表向きの情報だけを知った結果です。

それでも、派遣会社の公式ホームページや厚生労働省のページを細かく見た上でしたが、抜け道は必ずあるということですね。

ですが納得まではいかなくても、理解はできたので営業担当さんとのやり取りや電話相談はしてよかったと思っています。

まとめ

同一労働同一賃金についてお話してきましたが、ポイントをまとめるとこのようになります。

派遣社員に対して
同一労働同一賃金は、最低時給の人を救うため
派遣社員の時給がアップ

派遣会社に対して
職種別の基準時給を下回っていなければ問題なし
制度を理由に時給を下げるのは問題あり

制度により、無条件に派遣社員の時給が上がることはありませんが、基準時給より低い人は上がることになります。

また、派遣会社が制度を理由に時給をさげることは問題だが、基準時給を下回っていなければ問題なし、そして、派遣社員は契約を更新しないという選択肢もあるということでした。

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